IoT 建設現場活用事例 - 無人の大型重機を5Gで遠隔操作 ICTを活用した作業効率化と省人化の実現

IoT × ”建設現場” × KDDI

無人の大型重機を5Gで遠隔操作建設業におけるダイバーシティに期待

株式会社大林組 様 / 日本電気株式会社 様

  • 業務効率化・コスト削減
  • 建設現場
  • 実証試験の背景

    現在の建設業界では、震災復興やオリンピックなど、都市部を中心に新規での建設需要が高まっています。また、全国的にも道路や橋梁、トンネルなど多くの社会インフラは、建設からすでに数十年以上経過して老朽化が進んでおり、今後のメンテナンス需要はますます大きくなっていくと見込まれています。
    その一方で、労働力不足や労働人口の偏りが大きな課題となっています。1990年代後半には29歳以下の建設業従事者が20%以上を占めていましたが、2000年代に入ると急速に高年齢化が進行してきました。このような傾向は建設業界に限らずほとんどの産業に共通しているものの、建設業界においては顕著に表れています。
    需要が高まっているにもかかわらず、労働者の確保が追いついていない建設業界において、ICTを活用した作業効率化と省人化の実現が求められているのです。

  • これまでの実証試験と今回の違い

    本実証試験は、総務省の5G総合実証試験(※1) の一環として実施しました。2017年にスタートし、今回で3回目の実証試験となります。
    2017年度の実証試験では、建機に設置したカメラからの映像と建機を俯瞰する映像データを5Gで通信し、4K対応の3Dモニターに出力。建機1台の遠隔操作に成功しました。その翌年の2018年度には、遠隔操作により建機2台を連携させ、災害時における土砂の掘削・運搬作業を想定した実証試験を実施。加えて、国内で初めて音声制御システムを導入したことで、1人のオペレーターが2台の建機を同時に操作することに成功しました。これによって大幅な作業効率の向上が期待されることとなりました。

    そして今回の2019年度は、3台の建機の遠隔操作と自動運転システムを搭載した振動ローラの同時連携に加え、工事に必要な施工管理データのリアルタイム伝送・解析による一般的な道路造成工事の施工を実施。これまでの実証試験と大きく異なるのは、土木施工作業における作業工程(計画、機械施工、出来形、品質管理、安全管理)を統合した「統合施工管理システム」を採用したことです。3Dレーザースキャナの活用により、人手を介さずに施工時における土砂量や造成結果の測量にも成功。作業の進捗に合わせてタイムリーな出来高管理と品質管理が可能であることを実証しました。
    将来的には作業員が現地に出向かなくても遠隔地から複数の工事現場に連続してアクセスを可能にし、1人で複数の建機を操作し同時に作業ができるようにすることを目指します。

    (※1:電波を有効に利用できる実現性の高い技術について技術的検討を行い、その技術の早期導入を図ることを目的として、総務省が「技術試験事務」を実施しています。詳細は下記をご参照ください。)

    周波数ひっ迫対策のための技術試験事務の実施(総務省 | 電波利用ホームページ)

  • 試験内容

    2020年2月3日から2020年2月14日の間、三重県伊賀市において建設中の川上ダムの一部施工フィールドで、5Gを活用し3台の建機の遠隔操作と自動運転システムを搭載した振動ローラの同時連携に加え、工事に必要な施工管理データのリアルタイム伝送・解析による一般的な道路造成工事の実証試験を実施し成功しました。

    (1) 5Gを活用した3台の建機の遠隔操作による掘削、運搬、敷き均しの実施

    油圧ショベル、クローラキャリア、ブルドーザに、前方映像用の2Kカメラを各3台、全方位カメラ各1台設置し、計12台のカメラ映像と遠隔操作の信号データを5Gでリアルタイムに伝送しました。
    加えて、各建機の工事エリアを俯瞰する計8台の2Kカメラと、工事エリア全体を俯瞰する4K対応の3Dカメラも活用し、土砂の掘削や運搬、敷き均し作業を実施。3台の各建機には、安定したネットワーク接続を実現するために5G端末と基地局を常に向き合わせる正対装置を搭載しました。

    (2) 5Gを通じた、自動運転システム搭載の振動ローラによる転圧作業の施工指示、および施工結果の取得

    振動ローラにて敷き均しされた土砂の転圧を実施しました。自動運転システムを搭載した振動ローラと遠隔施工管理室間において、施工指示データを5Gによって伝送したほか、振動ローラの位置情報や転圧結果、品質データも5Gを活用することによってリアルタイムな伝送に成功しました。

    (3) 5Gを活用したGNSSデータ伝送による施工管理

    各建機からの映像やデータ伝送と合わせて、油圧ショベル、クローラキャリア、ブルドーザ、振動ローラに設置したGNSS(GPSなどの衛星測位システム)から取得するデータ(建機の位置情報、現場の施工状況と三次元設計データとの差異)を5Gによって遠隔施工管理室に伝送。マシンガイダンス(※2) により各建機の遠隔操作をサポートすると同時に、施工結果をリアルタイムに取得しました。

    (※2:建設機械の操作席のモニター画面に、施工する部分の完成形や刃先位置を表示し、オペレーターの操作をサポートする機能)

    (4) リアルタイム3Dレーザースキャナによる土砂量や造成結果データの5G伝送

    建機の工事エリアに3Dレーザースキャナを2台設置しマシンガイダンスにデータを利用するとともに、5Gによって施工現場の土砂量や造成結果のデータを伝送。遠隔地からリアルタイムに出来形を確認しました。

  • 期待される効果

    今回の実証試験により、建設業界が長年にわたって積み上げてきたノウハウと5Gのテクノロジーを融合させることで、ICTを活用した作業の省人化が実現できる可能性が見えてきました。また、遠隔による作業および施工管理が可能になると、作業員の多くが過酷な肉体労働から解放されるため、体力に自信のない労働者も広く受け入れられるようになるでしょう。さまざまな労働者が建設現場の作業に従事できるようになり、ダイバーシティの推進においても重要な役割を担うと考えられます。

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