微妙に違う?!かんたん解説「M2M」と「IoT」の違い

前回のIoTニュースでM2Mの基本的な考え方について説明しましたが、
最近では「IoT」という新たなキーワードも登場して世間をにぎわせています。
ただ、どちらも「モノの情報を扱う」という意味で非常に似通った技術であることから、
少なからず混乱を招いているようです。
そこで今回は、M2MとIoTの“違い”を解き明かしていきます。

  • 2020年には500億以上のモノが
    インターネットに接続される

    IoTとはInternet of Thingsの略で、直訳すれば「モノのインターネット」。パソコンやスマートフォンはもちろん、家電製品や自動車、工場設備、ヘルスケア機器、計測器、各種センサーなど、さまざまなモノ(デバイス)がインターネットに接続され、情報交換や制御を行う仕組みを指します。

    このように、M2MとIoTの考え方は非常によく似ています。モバイル通信が普及し、広範囲に分散する大量のモノをインターネットに接続することが可能となったことで、M2Mの概念がIoTに発展したとみることができます。

    実際、インターネットにつながるモノの数は爆発的に増えており、インテルやシスコシステムズといった大手ITベンダーは、2020年には500億台以上に達するという予測を示しています。現在の世界人口は約73億人とされていますが、その7倍近い数量のモノがインターネットに接続されることになります。

  • IoTの主な目的は大量のモノから
    ビッグデータを集めること

    M2MはIoTのひとつの形態といって間違いではありません。ただ、基本的な考え方は似ているとはいえ、M2MとIoTでは“やりたいこと”が少し違っています。

    IoTは、広範囲に分散している大量のモノから大規模な情報(ビッグデータ)を集めて分析し、これまで人間には直接見ることができなかった状況をわかりやすく“見える化”したり、さまざまな業務を効率化したりすることを主な目的としています。モノとつながる相手がモノであるか、人間であるかを、IoTは限定していません。

    実際に大きな成果を上げた事例として、3.11東日本大震災時における道路の通行実績情報の公開サービスがあります。

    震災の発生直後は、どの地域が被災しているのか、どの道路が津波やガレキなどで通行止めになっているのかといった状況を正確につかむことができず、救援物資の輸送にも大きな混乱が生じていました。そこでNPO法人のITSジャパンが旗振り役となり、ホンダ、トヨタ、日産、パイオニアの4社から提供された通行実績情報(プローブデータ)をインターネット上のマップに集約し、広くドライバーに公開しました。道路を走っているクルマが、IoTのセンサーとしての役割を果たしたのです。

    その後、国土地理院もこの取り組みに参加し、東北地方整備局、岩手県、宮城県、福島県、NEXCO東日本から収集した通行止め情報をそのマップに統合。被災地域におけるスムーズな移動を支援し、毛布や食料などの生活救援物資を被災地に届けるのに役立ちました。

  • 正確でリアルタイムな制御を
    モノ同士で“完結”することがM2Mの本質

    これに対してM2Mは、モノから情報を集めるというよりも、前回のIoTニュースでも説明したようにモノ同士に「何かをやらせる」ことを目的としています。

    したがって、モノとモノの通信はインターネットに限らず、専用の“閉じた”ネットワークが使われることもよくあります。また、そのネットワークを介して接続するモノの数も、必ずしも大量である必要はありません。M2Mの真骨頂は、正確かつリアルタイムな制御を人の手を介在することなく、モノ同士で“完結”することにあるのです。

    ふたたびクルマを例にとると、究極のM2Mと言えるのが自動運転技術です。

    車載のレーダーやカメラなどで路上の歩行者や障害物などを認識しつつ、まわりのクルマと通信しあって適切な車間距離を保ったり、信号機と通信して決められた位置で停止したりといった具合に、AI(人工知能)の判断に基づいてハンドルやアクセル、ブレーキなどを操作します。また、道路の混雑状況に応じて適切なクルマの進路を判断します。

    こうした高度な一連の操作が、M2Mによって実現すると考えられています。

【執筆】小山健治(こやま・けんじ)

1961年生まれ。システムエンジニア、編集プロダクションでのディレクターを経て、1994年よりフリーランスのジャーナリスト・コピーライター。
エンタープライズシステム、AI、デジタルマーケティングなどIT分野を中心に活動中。

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