IoTで海の安全も守る!ネットワークカメラの監視システム

いわゆる「防犯カメラ」のイメージが強いネットワークカメラ。
インターネットを経由し遠隔監視のできるカメラは、
実は海上の安全管理に欠かせない存在でもあるのです。

今回は、そんな海におけるネットワークカメラの活躍、
「土砂運搬船」への搭載に注目しました。

  • 土砂運搬船ならではの課題にアプローチ

    船上安全監視システム

    水底ごとさらって土砂を取り除く、湾岸の「浚渫工事」。取り除いた土砂を載せた「土砂運搬船」は自走せず、後ろから「押船」と呼ばれる動力船に押される格好で運搬していきます。

    つまり、運搬船は実質2台。操舵室から最後尾までは全長10メートルにもおよびます。後ろの小さな押船による操縦では特に左右のコントロールが難しく、さらに押されて進行する土砂運搬船の前方視野の確保も、安全航行上の大きな課題となっていました。

    この土砂運搬の現場において画期的な仕組みを確立したのが、「通信モジュール内蔵型ネットワークカメラ」による船上安全監視システムです。

    ネットワークカメラを設置するのは、先頭である「土砂運搬船」の前方と、後尾の「押船」の左右。接近する船舶等の映像を、モバイル通信網を介して操船室内のタブレット端末に配信します。

    これにより押船を操縦する船員が広い視野を確保することが可能となり、これまで死角となっていた部分もリアルタイムで監視する仕組みが整いました。航行中の安全管理の精度が格段にアップしたのです。

  • 利便性重視の短期間構築

    船上安全監視システム 構築の様子

    監視・管理の新システム導入で一般的にネックとされていたのは、システム構築にかかる期間の長さでした。自社サーバーを開設し費用もかさむなど、導入までに様々な壁が存在していました。

    当システムでは、自社サーバー不要のクラウドサーバー(AWS)、そしてIPカメラとモバイル回線を利用。1ヶ月という短期間での構築を実現させました。

    利便性重視で、画期的なシステムでありながら決して大掛かりでないこの仕組みが、短期間・低コストでの構築を支えています。

  • 進化を続ける諸機能

    web管理画面

    操舵室のタブレット端末に死角部分のストリーミング映像が配信されるこの新システムは、船舶操縦士の操舵判断をより確実なものへと導くことに成功しました。

    その諸機能は進化を続け、例えばweb管理画面上に表示するネットワークカメラの映像を任意に変更できる仕組みを実装しました。

    これは、土砂運搬船と押船の組み合わせが日々の運用に伴い変化することに対応したもの。変化する状況に応じ機能の追加や変更、アップグレードができるのも、クラウドシステムのメリットと言えます。

    海の安全を担うネットワークカメラの航行監視システム。今後さらに広がるIoTの活躍に注目が集まります。

    (文:四方美架)