IoTコラム - KDDIがさまざまな企業や団体と手を組んで行ってきた IoTに関する実証実験事例や導入事例

KDDIが取り組んできたIoT活用事例10選
身近な活用事例から実証実験まで幅広く紹介

あらゆるモノがネットワークにつながるIoT(モノのインターネット)は、徐々に活用の場を広げつつあります。
また、5GやAIの影響もあり、さらに幅広い業種への活用が加速されていくことが期待されています。

今回の記事では、これまでKDDIがさまざまな企業や団体と手を組んで行ってきた
IoTに関する実証実験事例や導入事例をいくつかご紹介します。

  • 事例1
    スマートスタジアム

    横浜DeNAベイスターズの本拠地である横浜スタジアムは、野球ファンをはじめとしてさまざまな人々の交流拠点となるような「コミュニティボールパーク」に生まれ変わるため、最先端の通信技術を導入した「スマートスタジアム」の実現に向けて取り組みを行っています。

    2019年には横浜スタジアム内外にデジタルサイネージを設置した情報配信サービスの実証実験が行われたほか、AR技術を活用した「ARスタンプラリー」も実施。また、横浜スタジアムの売店や周辺の飲食店などでスマホ決済サービス「au PAY」のキャンペーンも実施し、マーケティング施策にも役立てています。

    2020年春以降には5GとxR技術によって自由視点を組み合わせた映像テクノロジーを活用し、これまでの野球観戦にはない新しい楽しみ方を提案していく予定です。今後も5GやIoTの活用によって、来場者の利便性向上や、野球観戦が初めての人でも楽しめるエンターテインメント施策を積極的に提供していきます。

  • 事例2
    工事現場における建機の遠隔操作

    建設業界では作業員の高齢化や深刻な人手不足が大きな課題となっており、作業の効率化や省人化の実現が求められています。

    建設大手の大林組は、このような問題を解決するため、建設工事に不可欠な建機を遠隔地から操作するための実証試験を行っています。2017年から開始されたこの実証試験は2020年2月で3回目を迎え、建機に設置されたカメラで撮影した映像をKDDIの5Gを活用して管理室へ伝送。道路造成工事を建機4台の連携作業で実施したほか、3Dレーザースキャナを活用して造成結果データを5Gで伝送し、リアルタイムで出来形を確認することにも成功しています。

    将来的には、作業員が現場に行かなくても遠隔地から複数の現場に連続してアクセスできることを目指し、複数の建機を1人の作業員が操作できるようになることで、工数の大幅な削減が期待できます。
    なお、本試験は総務省 5G総合実証試験の一環として実施しています。

  • 事例3
    トイレの空室情報提供

    小田急電鉄が乗り入れている新宿駅には、西口地下改札外と南口改札内の2箇所にトイレが設置されていますが、利用者も多いため個室が満室となっているケースが少なくありません。

    そこで、トイレの個室にドアの開閉センサーを設置し、トイレの空室情報をクラウド上で共有する「KDDI IoTクラウド ~トイレ空室管理~」の実証実験が行われました。専用のスマホアプリからリアルタイムでトイレの空室状況が更新され、電車を降りる前に専用アプリで確認しておけば、ユーザーは空いているトイレへ向かうことができるため、空室を探す時間を節約することができます。

    設置するIoTセンサー自体も低コストかつスピーディーに設置できるため、小田急電鉄では今後、トイレ以外にもコインロッカーなどの共有設備の利便性を目指してIoTの積極的な活用を検討していく予定です。

  • 事例4
    生産設備の故障予兆検知

    梱包容器の開発・製造を行っている日本トーカンパッケージでは、生産設備のメンテナンスを熟練の担当者が行っており、属人的な業務のため技術継承が進まないという問題を抱えていました。

    そこで、生産設備のトラブルや故障予兆検知のためにIoTを活用したシステムを導入。当該システムは「KDDI IoTクラウド ~工場パッケージ~」および「KDDI IoTクラウド Standard」を導入することでIoTセンサーを生産設備のメインモーターに取り付け、温度や振動値、電流値をクラウド上に保存し、インターネット経由で確認可能な仕組みを構築しました。

    今回の実証実験によって、属人的な点検作業が大幅に効率化されたほか、不具合発生時におけるサポートのスピードアップにつながり、生産設備のトラブルによる納期遅延を解決することに成功しています。また、生産設備の稼働状況を可視化することで無駄なアイドリング運転を削減し、電気代の節約にもつながると期待されます。

  • 事例5
    5G等を活用した自動運転

    2019年2月、愛知県の「平成30年度自動運転実証推進事業」の一環として、国内で初となる5Gを活用した一般公道での自動運転走行実験が愛知県一宮市で行われました。

    自動運転の実証実験はこれまでも行われてきましたが、5Gを使用し運転席が無人の環境で行われたのは今回が初となります。自動運転車の車内には遠隔監視・制御用に5台のカメラと高精細な4Kカメラ1台が搭載され、遠隔管制室に映像を送信します。遠隔管制室では、遠隔による監視を行い、万が一障害物などによって自動車が停止した場合などは、遠隔管制室に設置されたハンドルやアクセルで遠隔運転を行うことでトラブルを回避することが可能となっています。

    KDDIでは、地方における労働人口や移動手段の減少、高齢運転者の増加といった社会的課題の解決を図るため、5Gを活用した自動運転システムの導入が有効であると考えており、今後の本格的な実用化に向けた様々な実験を展開していく予定です。

  • 事例6
    無農薬栽培における水量管理

    兵庫県豊岡市では「コウノトリ育む農法」とよばれる稲の無農薬栽培に取り組んでいます。雑草対策として一般的な水田よりも水管理に手間がかかることから、農家にとっては作付面積を増やせないという悩みを抱えてきました。

    そこで、水田に水位センサーを設置し、水位が閾値を超過した場合にメールが届くようなIoTシステムを構築し、農家の作業負担軽減に役立てる実証実験が行われました。この取組みにKDDIが提供する「KDDI IoT通信サービス LPWA」を活用することで、水位や水温、地温のデータをクラウド上に保存し、1時間ごとに計測されたこれらのデータをパソコンやスマートフォンで確認することが可能です。

    作業の負担軽減はもちろん、さまざまなデータを可視化することで品質の標準化や収穫量向上が見込めるほか、今後若い人が農業へ関心を高め、就農人口をアップさせることも期待されています。

  • 事例7
    地域イベントへの活用

    北海道無形民俗文化財に指定されている「江差・姥神大神宮渡御祭」は、13台の山車(ヤマ)が江差町内を練り歩きます。しかし、初めて江差町を訪れた観光客にとっては、今どのあたりを山車が練り歩いているのか分かりづらいといった課題がありました。

    そこで、KDDIが提供する「KDDI IoTクラウド Standard」を活用して山車にIoTデバイスを取り付け、観光客へ位置情報を共有するシステムを開発しました。山車の位置情報はGPSやWi-Fiから5分間隔で取得しており、おおよその場所をスマートフォンやデジタルサイネージで把握することができます。

    自治体で行われている中小規模のイベント開催に莫大なコストを投入することは難しいものですが、「KDDI IoTクラウド Standard」を活用することによって、コストを最小限に抑えつつも利便性の高いサービスを開発できるようになりました。
    江差町ではバスの運行状況を可視化できるサービスなど位置情報デバイスを用いてのアイデアは役場内でも多く出ているようで、江差町からの自治体サービスにおける新しいIoT活用方法の発信に期待が膨らみます。

  • 事例8
    天候の急変検知による工事作業の安全確保

    下水道幹線工事において大きなリスクとなるのが気候の急変です。ゲリラ豪雨に見舞われてしまうと地下を流れる下水の水位が一気に上昇し、管内作業員が危険に巻き込まれるケースがあります。作業前の段階で天気予報をチェックしていても、局地的に見舞われるゲリラ豪雨は予測が難しいもの。

    このような危険を速やかに検知するために、神奈川県にある湘南建設ではKDDIの「KDDI IoTクラウド~作業員みまもり~ +天候予測」を導入しました。本サービスではウェザーニューズ社が提供する気象情報をもとに、詳細エリアの正確な天候予測情報を作業員に提供します。

    作業現場において天候の急変を検知した場合、責任者へアラームを発報し、現場監督は管内の作業員へ連絡することで速やかに地上へ避難させ、安全を確保できる体制を構築しています。 湘南建設では現場周辺の複数地点を登録し気象情報を取得することで、ゲリラ豪雨を早期に把握できるようになりました。

  • 事例9
    ゴミ箱の残量監視

    沖縄県有数の観光地でもある国際通りでは、店頭にゴミ箱を設置してもすぐに溢れてしまい、街の景観を損ねてしまうという問題を抱えていました。

    そこで、ゴミの回収や処理にかける人的コストを最小限にするために、ゴミ箱の残量が監視できるIoTゴミ箱を開発しました。このIoTゴミ箱は、KDDIの「KDDI IoTクラウド Standard」や「KDDI IoT通信サービス LPWA」を用いて開発され、ゴミ箱内に残量を計測できるIoTセンサーを設置し、LTE-M通信モジュールによって1分間隔でゴミ残量データをクラウド上に送信します。ゴミの量が80%に達した時点で、モニタリングを行っているセンター側から現場の担当者に回収指示を出すことにより、人的コストを最小限に留めることに成功。また、IoT向けの省電力通信技術であるLPWAを活用しており、1回の充電で終日使用できるようになっています。

    実証実験の期間中はこの取り組みによって景観が改善され、多くの観光客から好評を得ることができました。

  • 事例10
    サバ養殖での水質管理

    福井県小浜市ではサバの養殖に取り組んでいますが、これまでは熟練の漁業者が水温などを計測し経験と勘で餌の分量を決めていました。しかし、養殖技術を確立し、安定した漁獲高を維持するためには作業の効率化が必要不可欠です。

    そこで、漁港内の生簀(いけす)に水温や塩分濃度、酸素濃度を計測できるIoTセンサーを設置し、1時間ごとにこれらのデータを計測後、「KDDI IoT通信サービスLTE」を経由してクラウド上にデータを保存するシステムを構築しました。

    当該システムの構築により、タブレットやスマートフォン上からいつでも水質を確認することができ、適切な餌の量や与える時間帯などがはっきりと分かるようになりました。また、悪天候時に海へ近付くことなく水質をチェックできるため、従業員の安全確保にも貢献できると期待されます。

  • IoTによって変革するビジネス

    今回紹介してきたIoTの活用事例は、いずれも他業種のビジネスパートナーさまとKDDIが手をとりあって課題解決に取り組んだ事例です。農業や漁業のような第一次産業、生産設備や工事といった第二次産業、そして環境やサービス業といった第三次産業まで、IoTは幅広い業種への活用が始まっており、今後さらに広がっていくことでしょう。

    これまでITとは関わりのなかった業種や団体、企業であっても、KDDIはパートナーさまと同じ目線になって課題を改善することにより解決策を導き出してきました。今回ピックアップした10の事例をご覧になりながら、皆様のビジネスにおける、IoTテクノロジー活用のヒントになれば幸いです。

    (文:西村広光)

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[2020年5月25日~5月31日]