IoTとは? - いま知っておきたい「IoT (アイオーティー) : Internet of Things (モノのインターネット) 」をやさしく解説します

IoTとは?

注目を集める「IoT (アイオーティー) 」というキーワード。
「IoT」はどう使われている?「IoT」であなたの生活はどう変わる?
いま知っておきたい「IoT」をやさしく解説します。

AIや5Gと並び新たなテクノロジーとして定着しつつある「IoT」。言葉は聞いたことがあってもIoTの仕組みや技術的な内容までは分からないという人も多いのではないでしょうか。今回の記事では、IoTの言葉の意味はもちろん、私たちの生活にどのような影響を与えるのか、さらにはIoTをビジネスに活用するメリットなども含めて解説します。

IoT (アイオーティー) とは?

IoTとは「Internet of Things」の頭文字を取った言葉であり、直訳して「モノのインターネット」と呼ばれています。

これまでインターネットといえばパソコンが主役の時代でしたが、2000年代後半にスマートフォンやタブレット端末が登場して以降、インターネットに接続されるデバイスの裾野は広がってきました。

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)

IoTは主に、離れた場所からモノの状態を把握する役割や、モノ同士が双方向でさまざまなデータをやりとりする役割を果たします。モノから収集したデータはビッグデータとして一つの箱に蓄積し管理され、AIによる高度分析においても欠かせないものです。

また、IoTで収集するデータはモノだけではなく、人に関するデータも対象となります。脈拍や歩数などのヘルスケアに役立つデータはもちろん、GPSで取得した位置情報など、あらゆるデータを収集できます。

ビッグデータとして活用されている
各種データの一例

  • 乗車履歴

    ICカードを利用した
    電車やバスの乗車履歴

  • 購入履歴

    店舗やECサイトでの
    商品購入履歴

  • 決済履歴

    個人の趣向を判断し
    マーケティング活用

  • 工場設備の
    情報

    各種センサーを利用した
    設備の稼働情報

  • 在庫情報

    重量センサーを利用した
    倉庫内の在庫情報

  • 画像・映像
    データ

    画像・映像認識による
    性別や年代の推定情報

  • 位置情報

    GPSを利用した
    位置情報

  • 健康情報

    ウェアラブルデバイスを
    利用した健康情報

  • 環境情報

    センサーを利用した
    気温・湿度など環境情報

一方、IoTと混同されがちな技術として「M2M(Machine to Machine)」がありますが、これは機械同士の通信によって機械を制御することを目的としたものです。ビッグデータを収集することを目的としていないため、離れた場所からモノを制御し、機械同士で完結できる仕組みがM2Mに該当します。

現在、情報デバイスや家電製品だけではなく、さまざまなモノがネットワーク接続に対応してきていますが、今後は収集したビッグデータをどのように分析し、生かしていくかが重要な課題となっています。

M2MとIoT

IoTで生活はどう変わる?

IoTの社会実装が本格化すると、普段の生活や働き方に至るまで、あらゆる場面において私たちの生活は激変するといわれています。あらゆるモノにセンサーが搭載され、モノの状態をデータとして収集することでさまざまな用途に応用が可能となるためです。

たとえば産業分野でのケースを想定してみると、生産設備が故障したとき、人が設備の異常を検知して修理を依頼するというのが通常の流れです。しかし、生産設備がIoT化していると、故障になる前の段階でわずかな異常をセンサーが検知し知らせてくれます。これによって機器の故障による生産性低下や損失を最小限に食い止めることができ、メンテナンスの人員も抑制できる効果が見込めます。

生産設備とIoT

また、IoTは今後さらに深刻化する高齢化社会において救世主になる可能性もあります。IoTに対応したウェアラブル端末があれば、個人のヘルスケアデータを取得し、遠隔診療に役立てることができます。高齢者の一人暮らし世帯においても健康状態が常に把握できるため、孤独死という最悪の事態を未然に防ぐことにもつながるでしょう。さらに、認知症を発症した親の介護に悩まされている方も、スマートロックやネットワークカメラなどのIoT端末をうまく併用することで、介護の負担を軽減させることも期待できます。

高齢化社会において救世主になるIoT

IoTが私たちの生活に身近な存在になってくると、リモコンのような機械的な操作を可能にするだけではなく、その人に最適化された情報を提供し、高度な判断が求められる内容もIoTで収集したビッグデータをもとに分析できるようになると考えられています。

これまで私たちは、インターネットから欲しい情報を都度検索し情報収集をしてきました。しかし、IoTの時代がやってくるとその人に最適化された情報や、異常を検知した場合に通知してくれるようになります。

これを実現するためには、IoTだけではなく、AIや5Gのような次世代の技術、そしてあらゆる産業で培ってきたノウハウや知見などもあわせて生かしていくことが求められているのです。

IoT活用事例

IoTによって変わるライフスタイルをより分かりやすくイメージできるように、代表的な活用事例をいくつかご紹介します。

自動運転

近年注目を集める自動運転においてIoTは必要不可欠な技術です。自動運転の基本的な仕組みは、カメラで撮影した交通状況や路面状況、車の状態などをクラウド上へデータとして共有し、AIが運転の指示を与えるというもの。このとき、自動車の各パーツから得られるデータはIoTの技術がなければ収集できません。

自動運転は人の命を預かる極めて重要な技術であるだけに、AIによる危険予測および車の制御は慎重に判断する必要があります。たとえば交通状況を捉えるカメラに死角があったり、一部のセンサーが故障しているのに気付かないまま走行していたりすると、重大な事故に発展する可能性もあるでしょう。自動運転に対応した車は、危険を検知するためのIoTの塊ともいえるものです。

農業

農業の分野ではドローンによるIoT技術の活用も注目を集めています。田畑の状況を上空からカメラで撮影し、クラウドに瞬時にアップロードするためにはIoTの技術が必要不可欠であるためです。

上空からの映像を撮影するだけであればネットワークに接続する必要はありませんが、作物の生育状況をAIが瞬時に判断することで、必要な農薬の種類と量を分析し大幅な作業効率化に役立てることができます。

近年、後継者不足が深刻化している農業は、ノウハウや知見の伝承が大きな課題となっています。IoT技術によって生育データが適正に記録できていれば、農業を次世代に引き継いでいくための大きな武器にもなり得ます。

漁業

養殖漁業の分野では、いけすの水温や給餌量をIoTセンサーで記録し、魚の生育状況を見極めながら最適な給餌計画を立てることができます。IoTセンサーから取得したデータをもとに、PDCAサイクルを確立することで餌にかかるコストを最小化。これまで漁業者の経験や勘に頼っていた技術もIoTセンサーによってデータ化することができ、取得したデータは養殖技術の知見として後世に引き継いでいくことが可能になります。
また、海が荒れている中でもIoTセンサーによって遠隔地から状況を把握することができ、漁業者の安全を確保できるメリットもあります。

その他のIoT活用事例

IoTで注目される通信技術 「5G」と「LPWA」

IoTの社会実装を検討する際、インフラとなるネットワーク環境の構築は避けて通れない課題のひとつです。そこで注目されているのが「5G」と「LPWA」と呼ばれるネットワーク技術。IoTの社会実装を実現する上でそれぞれが果たす役割について詳しく解説します。

5GとLPWAの規格

5G

4Gに接続するデバイスはスマートフォンやタブレット端末などが中心でしたが、IoTが普及してくるとデバイス数は爆発的に増加することが予想されます。4Gのネットワーク環境下では同時に多くのデバイスがアクセスした際に輻輳(ふくそう)が発生し、通信が途切れたり大幅な遅延が発生したりといった問題が考えられます。

そこで注目されているのが次世代ネットワークの「5G」です。5Gは「高速・大容量」「低遅延」「多接続」という特性がありますが、同時接続数で比較してみると4Gは1平方キロメートル当たり最大10万デバイス、これに対して5Gは最大100万デバイスが接続可能です。将来IoTが広く社会に普及してデバイス数が飛躍的に増加したとしても、5Gのネットワークが整備されていれば輻輳が起こりにくく安定した回線品質が維持できると期待されているのです。

5Gの特徴

また、活用事例の中でも紹介した自動運転や農業・漁業でのIoTシステムでは、超高精細な映像データを伝送しなければなりません。5Gのデータ転送速度は最大20Gbpsを誇り、従来の4Gに比べて最大20倍もの差があります。大容量のデータをやりとりする場合においても、4Gよりも5Gの方が圧倒的に有利であるためIoTには欠かせない技術といえるでしょう。

さらに、自動運転のようなリアルタイム性が求められるシステムの場合、通信における遅延もクリアしなければならない課題のひとつです。たとえば走行中に前方の車が急ブレーキを踏んだ場合、少しでも判断が遅れてしまうと追突事故を起こしてしまいます。これと同様に、自動運転では通信の遅延が発生することで運転制御の遅れにも直結し、重大事故の原因になることも考えられます。4Gの通信遅延は10ms(0.01秒)であるのに対し、5Gの場合はわずか1ms(0.001秒)。これはあくまでも基地局間での遅延であり、インターネットを経由することで遅延は大きくなりますが、IoTのシステムを構築する上で5Gの低遅延という特性は欠かせない要素でもあります。

LPWA

LPWAとは「Low Power Wide Area」の略称で、「低消費電力」「広範囲」「低速」「低コスト」での通信を可能にする技術です。5Gは最大20Gbpsという大容量のネットワークを実現するネットワーク技術ですが、LPWAの場合は最大1〜2Mbps程度。LPWAはスマートフォンやタブレット端末のようなデバイスではなく、IoTセンサーなどのデバイスに活用されることを前提としています。そのため、LPWAは4Gや5Gと比較した場合、通信コストを最小限に抑えられるメリットがあります。

LPWAとは
LPWAとは

LPWAにはいくつかの規格が存在し、それぞれ周波数帯や基地局を運営している事業者も異なります。KDDIでは自前のLTE基地局を利用した「LTE-M」を提供しており、最大1Mbpsの通信速度、99%以上の人口カバー率(注1)を実現しています。また、LTE-Mは10年以上という極めて長いバッテリー寿命(注2)を実現。たとえば電源の確保が難しい屋外などにIoTデバイスを設置する場合も、バッテリー交換のメンテナンスを行う頻度を最小限に抑えることができます。

ちなみに、LPWAは「ライセンス系」と「アンライセンス系」の規格に分類することができ、ライセンス系は無線局免許が必要ですが、アンライセンス系は免許がなくても運用が可能です。KDDIが提供するLTE-Mはライセンス系のLPWAに当たり、カバレッジ拡張技術によって広範囲かつ高品質なデータ通信を実現しています。

(注1)LTEやCat.1と比較して「Coverage Enhancement技術」によりエリアが広がります。エリアの拡大範囲は、周辺環境によって異なります。
(注2)単三電池2本換算。利用アプリケーション、用途により異なります。

IoTのビジネス活用のメリット

昨今、さまざまな企業において「SDGs」への取り組みが積極的に検討されています。SDGsは日本において「持続可能な開発目標」と表現され、地球環境や経済、ジェンダー、都市開発などを含む17の目標を定義しています。中でも企業において関連性の高い目標といえるのが「働きがいも経済成長も」「産業と技術革新の基盤を作ろう」という項目。これらを実現するために、IoTの活用を検討してみることでビジネスにおけるメリットが見えてきます。

働きがいと経済成長

これまで多くの労働者がしいられてきた長時間労働やサービス残業などの過酷な労働条件は、労働者の勤労意欲を低下させ、結果として企業の生産性や競争力の低下にも直結します。経済全体を俯瞰して見た場合も、企業の競争力が低下することは経済成長を鈍化させ、多くの労働者をさらに苦しめる結果となります。

長期的な目線で企業や経済全体の成長を考えたとき、まずは労働者のワークライフバランスを充実させ、働きがいがあり生産性の高い仕事に従事させることが不可欠です。これまで労働者が担ってきた単純作業は、AIやIoT、ロボティクスなどのテクノロジーによって可能な限り自動化、効率化につなげられると期待できます。これによって単純労働にかかる時間は短縮され、より創造的な業務に割り当てることによってやりがいを感じられるようになります。

働きがいと経済成長

また、IoT技術は人手不足の解消にもつながると期待できます。建設大手の株式会社大林組では、IoTおよび5G技術を活用した建機の遠隔操作の実証実験に成功しています。将来的には作業員が現地に赴くことなく、遠隔地から複数の作業現場にアクセスし建機を操作することを目指しており、深刻な人手不足が続く建設業界において大きな期待がされています。

産業と技術革新の基盤

産業と技術革新の基盤とは、主に生活に欠かせないインフラを整備することを指しています。日本ではすでに電気やガス、水道などのライフラインは十分に整備されている状態ですが、今後AIなどのテクノロジーが発展していったとき、ネットワークインフラによって情報格差が生じる可能性もあります。特に災害の多い日本においては、避難情報や最新の気象情報などの提供が遅れてしまうと、生命の安全を脅かすケースも想定されます。

また、インフラはあらゆる産業における技術革新につながるものであり、最低限整備しておかなければならない基盤ともいえます。あらゆる産業でAIの社会実装が進み身近な存在として定着するためには、まずはIoTによってビッグデータが収集できる基盤が不可欠です。そのため、今後あらゆる業種においてIoTによるインフラ構築の需要は一層高まっていくものと考えられます。

ビッグデータがいつでも収集できる

KDDIのIoT関連サービス一覧

KDDIでは今回紹介してきたユースケース以外にも、さまざまな分野・用途に対応したIoT関連サービスを提供しています。製造業やインフラ産業、サービス業などに対応できるIoT製品のほか、分野を問わず導入できる汎用IoT製品、さらにはIoTサービスを構成するためのネットワークやデバイスなどもトータルでサポート。IoTや5Gの強みを生かした新たな事業を展開する際には、ぜひKDDIのIoT関連サービスをご検討ください。